サプライズな証券会社
我は、経済のどの部門では自己の利益追求という民間活力と市場メカニズムを活用し、どの部門では全体を考えて公共部門を活用するか、じっくりと見直す必要がある。
あとがきここのテーマである、〈需要側〉と〈供給側〉という2つの立場から見た、景気と経済政策に関する議論は、60年代には、「新古典派総合」という考え方で、折り合いが付けられていた。
そこでは、好況期にはミクロ経済学が扱う〈供給側〉の考え方を適用し、不況期には伝統的なKインズ経済学をもとにした〈需要側〉の考え方を適用するという合意が形成されていた。
ところが、ここ20年ほどの経済理論の発展と精緻化は、伝統的なKインズ経済学が前提としてきた議論に無視しがたい欠陥を見出し、ついには、有効需要不足は理論的に発生し得ないと結論付けて、〈需要側〉の考え方を全面的に否定することとなった。
このような〈供給側〉の考え方に立つマクロ経済学の台頭は、数年前のシカゴ大学のルーカス教授のNーベル賞受賞にも、象徴的に現れている。
このことは、現実の不況に対する考え方にも大きく影響し、経済政策を考えるさいに、〈供給側〉の考え方が強く反映されることとなった。
これに対して、新古典派総合という経済学の歴史の中での平和な時代に、経済学を学んだ人たちは、いまは不況だから、伝統的なKインズ経済学に基づき、財政出動による景気刺激を行えばよいのになぜいまの経済学者は忘れてしまったのかという疑問を持つ.一方最先端のマクロ理論を知っている現代の研究者たちは、伝統的なKインズ経済学の欠陥を熟知しているため、政策発言をするさいには〈供給側〉の考え方を述べる傾向がある。
さらに、〈供給側〉の考え方では、結局は経済の部分を効率化すればよく、あとは市場がうまく調整してくれるということになるため、理論的な知識がなくても感覚的に一般に受け入れられやすい。
そのため、その裏にある前提や限界がわかっていれば当然注意されるべき点が見過ごされ、過度に〈供給側〉に偏った政策決定がなされて、不況の深刻化を招いてしまった。
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